d0iの連絡帳

気がむいたら書く

組織内SNSはどのようにあるべきか

思い出したので、日頃思っていることを以下に記録。多分どっかでも言われている陳腐な内容だとは思う。

組織内(会社内)SNSとは、自社の経営状況を把握するためのバックオフィスシステムの発展形として存在すべきだ。なぜなら、多くの場合、組織の最大の財産は、人のネットワークだからだ。組織が大きい場合は特にそうで、同じようなこと、連携すれば簡単に解決することなどが、定常的にほったらかされて、無駄な努力をしていたりする。

(現在の勤務先でもそう。今日、予算申請のための予算積上げをしていたのだけど、社内のコンポーネントの情報を集めるのにどれだけ苦労したか‥‥‥ しかも、結局、いわゆる「顔の広い人」に伝手をお願いするのが一番早いという。)

一方、組織内SNSを、在野のSNSと同思想で作るとおよそ失敗する。僕は、そういったSNSが失敗する理由は、組織の目的(業務)に沿って作られていないからではないかと推測している。組織内SNSを最大限活用するためには、業務上の組織機能を反映し、スケジュール管理・ワークフロー承認や、可能ならドキュメント管理等もそのSNS上でやる、ぐらいの覚悟が必要だ。


そういったSNSでは、誰と誰が「フレンド」(SNS用語で言う)なのか、というのが、社内組織・情報管理として重要な意味を持つ。フレンドとは、スケジュールや日報を共有し、互いに互いのスケジュールを予約できる間柄を意味する。これにより、古典的なツリー状の組織構造に、weak tie (あるいはsmall world的構造を構築するためのlong jump) を導入できる。

一方、SNS上に、多様な組織の多様な業務内容をできるだけ多く載せることが必要だ。これは、「情報のスカベンジング」を実現するためだ。SNS上の自分の情報の管理が、今までの業務に対する「追加の仕事」となっては、誰もSNSなど使わない。日報・週報・月報等の管理や相互参照(RSSやキーワード抽出による自動タギングぐらい当然だよね)、メール (IMAPぐらい当然だよね)、スケジュール管理 (iCalでのやりとりは必須だよね)、文書管理 (変更履歴管理・PDF/Flashでのexportぐらいフツーだよね)、ソースコード等の成果物の管理 (svn/Tracとgitぐらいには対応してほしい)、などの機能の オ マ ケ として、 (1) 誰がどういったことをやっているかを把握し (2) 厳密な権限管理の上で、情報を流通させ (3) それぞれの「タグ」に対するキーパーソンを抽出し (4) キーパーソンの周辺での情報やコンタクトの交通整理を行う、ぐらいの機能がある。

これが自分の考える組織内SNSの一つの姿だ。

一方で、情報アクセスには厳密な権限管理が必要だが、その情報の「コピー」はある程度許さないといけないかもしれない。unofficialな情報の回覧 (つまり、回付範囲をちょっとだけ超えた、悪意のない border violation) は、形を変えた weak tie なので、これを縛ってしまうと途端に柔軟性が失われる。また、回付範囲の定義はカンペキであることはありえない、という側面もある。したがって、よほど重要な情報でない限り、コピーを行う人の権限で情報アクセス制御の枠を超える手段を持つ必要がある。

さらに、こういったシステムはオープンにモジュール化がされていることが望ましい。多種多様な業務を吸収するためには、定型的な機能だけでは不足する。モジュールのカスタマイズや新規開発が各部門の有志でできる、あるいは外部のモジュールレポジトリからimportする、などといった機能があれば、業務内容への最適化も、経時的な業務性質の変化への追随も可能だろう。

こういうSNS、誰か作って、うちの会社のCIO (に相当する人) をオトして、うちに納めてくれないかなぁ?